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『渓流』 中原中也 
渓流で冷やされたビールは、

青春のように悲しかった。

峰を仰いで僕は、

泣き入るように飲んだ。



ビショビショに濡れて、とれそうになっているレッテルも、

青春のように悲しかった。

しかしみんなは、「実にいい」とばかり云った。

僕も実は、そう云ったのだが。



湿った苔も泡立つ水も、

日陰も岩も悲しかった。

やがてみんなは飲む手をやめた。

ビールはまだ、渓流の中で冷やされていた。



水を透かして瓶の肌えをみていると、

僕はもう、此の上歩きたいなぞとは思わなかった。

一人失敬して、宿に行って、

女中と話をした。



渓流・・・たにがわ
女中・・・ねえさん
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